NZTAKMANのブログ

30代。政治経済/社会/異文化/筋トレ/チームマネジメント

ウェーバーの工業立地論

ドイツ人の経済、社会、地理学者のアフレッド・ウェーバーは工場がどう分布するのかを解き明かした。(1909年 諸工業の立地について)

 

展開ポイントは3点

■輸送費が最小化

輸送とは、原料・燃料の輸送+製品の輸送。

普遍原料(空気や水)と特定の場所で手に入る局地原料(石炭、石油、鉄鉱石など)がある。

普遍原料つまりどこでも手に入る⇒ 市場志向型。例:ビール、清涼飲料

製品の輸送費が比較的割高な時⇒市場志向型。例:電気機械、出版、印刷

原料の産地が限られ、かつ重量が重い場合、原料産地で加工する⇒原料指向型⇒セメント、鉄鋼、乳製品

■労働力;人件費の比重が高く、高度な技術が必要としない分野(単純な組み立てや縫製):

⇒この工業は人件費の安い農村や外国に立地する。さらにその場所が交通インフラが整っていないといけない。⇒労働力志向:繊維工業、簡易で電部品。他伝統工芸も労働力志向。

チャイナプラスワン:中国に設置した工場に加えて、第三国にも工場を設置する動きのこと。中国以外の国、地域への分散して投資し、様々なリスク回避を目的とした経営戦略。例;賃金上昇、知的財産の流出、ストライキ、外交関係など。候補国:カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムCLMV

■集積:企業内の複数の工場、もしくは複数の企業が集まっている状態を集積という。集積した方が利益が増すメリットがある。例:補助産業の創出、道具や原料の効率的な調達、地域企業の競争力を高める。有名例:トヨタの豊田市、パナソニックの門真市。下請けや子会社が集まる。

■ケーススタディ 例:自動車、九州(東海、関東に次ぐ三大自動車生産拠点シェア9%)75年に日産が福岡の苅田(かんだ)町、91年にトヨタが福岡の宮若市、2004年にはダイハツが大分県中津市に。

宮若市:当時トヨタの3割が九州出身で、人材のつながりがあった(愛知県内では労働者不足を)。地震のリスク分散。広大な土地、インターチェンジ(九州自動車道)のインフラ充実、県からの熱心な受け入れ体制など。

九州北部のメリット:①北九州市は古くから工業基盤があり、部品供給源に厚みがあった。②人件費が安く、求人倍数も低め③交通、物流面で強い。輸出向けに積み出し港のある臨海部、苅田町は瀬戸内海に面して有利。アジアへの近さも。

臨海志向:

原料を海外からの輸入に頼っている場合、港が近い場所に工場立地がベスト。さらに大都市に近いと輸送費を抑えられる。例:四日市

■臨港志向:

ICは小さくて軽いので飛行機か陸路(高速道路)で運ぶのが有利。

空港や高速道路が近くにあること。例:シリコンアイランド(九州)、シリコンロード(東北)きれいな水と空気⇒IC回路の密度が高く、わずかなホコリを付着すると回路に影響する。クリーンルームと呼ばれるホコリを極限まで減らした環境が必須。人工的にフィルターでホコリを除去する。他、静電気、ガスなどもトラブルの原因になる。

 

参照:

学びなおすと地理はおもしろい 宇野仙

https://geographers.info/2020/01/10/weber/#outline__1

https://www.kinzai.jp/uploads/kaigai_sample2.pdf

https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/mhri/research/pdf/research/r070701region.pdf

https://www.city.miyawaka.lg.jp/kiji003445051/3_445051_4_kouhou0011_061201.pdf