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食料自給率: 日本 vs ニュージーランド

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日本の食品自給率 39%

自給率とは国内で消費される食品のうち、国産品がどれだけ占めるかという割合である。(国内生産量÷食品消費量)。この指数が高い程、自給力が高く輸入や不作などの影響を受けにくい。反対に小さくなるほど、海外からの輸入食品に依存傾向がある。日本の食品自給率は39%(農林水産省調べ2010年)と、主要先進国の中で最低水準である。1980年代から50%を切り、現在まで減少し続けている。(アメリカ135%, カナダ225%, フランス130%, オーストラリア182%)この低さの原因の1つとして、米食からパンや麺類の普及や多様化、そして日本の伝統的な魚料理より肉やバターといった欧米食の増加も影響しているだろう。耕作地が狭く、人口の多い日本は、農業生産量を上げるのもまた課題である。

品目別自給率

低い品目―大豆、砂糖類、小麦、油脂類、畜産物(家畜用トウモロコシほぼ輸入)
輸入相手国―アメリカ、カナダ、ブラジル、オーストラリア
高い品目―米、野菜、魚介類:稲作に適した土壌と降水量。農業技術による安定した収穫量と豊富な水産資源。

対策
地産地消(ちさんちし)―地元で育った作物をその生産された地域内で消費する取り組み。自給率の向上につながり、地域の農漁業生産、販売、消費の活性化。
日本型食生活の促進―米飯食と魚中心の献立へ。朝食欠食率の改善。学校での食育。
耕作放棄地の解消―限られた土地の利用最大化。
農業生産力の向上―次世代農業者の確保と育成。AI、ロボット技術、ICTを使った効率的な生産体制。継続的品質改良。

ニュージーランドの自給率185% 輸出の半分は農産品!
ニュージーランドは恵まれた自然を利用した農業大国であり、国内消費は人口480万人(日本の1/26)と小規模のため、自給率は高い。実際にその高い農業力を強みとして、輸出額の50%以上が乳製品、食肉、果実類と魚介類が占めている。

 

品目別自給率
乳製品―輸出額トップ、構成比22%全粉乳(パンの風味付けや粉ミルク用)、バター、チーズなど多様なニーズ。
食肉―輸出品目第2位。構成比13%国産牛肉の8割以上は輸出される。牛肉は主にハンバーガー用で、ラム肉もヘルシーブームで海外で需要が高い。クリーンな牧草肥育で安全かつ低コストのため、海外市場でも競争力が高い。日本ではネックとなっている飼料用のトウモロコシの調達の心配もない。
果物類―生産量>国内消費。キウイフルーツ(生産量世界第3位)、リンゴ(北半球のオフシーズンに収穫)、ワイン用ブドウ(新興国ブランドとして欧米へ輸出)。
穀物類―穀物自給率99%と高水準で安定(2009年)。小麦や大麦は主に南島カンタベリー地方で生産されている。またNZ人は、米よりジャガイモや小麦製品がエネルギー源のため、日本とは食生活が異なる。(ジャガイモも国産で供給できているので問題なし。)米の生産、消費、輸入も極めて低い。

魚介類―自給率572%(2005年)NZは水産資源が豊富な点ではあるが、(肉食志向のため)国内需要は少なく、輸出が大部分となる。ホキ(タラ目)はフィレオフィッシュに使われている。
大豆:生産消費共に調査が要る。

 

まとめ:

食生活、市場規模、農地による相違点はあるにせよ、日本の自給率が極めて低いことが懸念される。様々な理由で(輸入価格の上昇、異常気象による不作、グローバル需要の増加など)、輸入が減少、停止した場合に備えて日本は国産農産物の生産力と消費品目の見直しを急がないといけない。まずは1)国産品の消費促進。地元で生産されたものを安心して食べられる。2)不耕地の有効化。3)生産力の向上。後継者育成と最新技術を融合した効率的農業生産。いずれも生産者、消費者、地域が一体となって国内農業を活性化されないと機能しない。一方でニュージーランドは広大な放牧地と恵まれた土壌を駆使して農業生産力が高い。この強みとして輸出品も乳製品、畜産品が上位を占める。コロナウィルスの流行で国外からの流通がストップしたにもかかわらず、食べる事で特にパニックしていない今、ニュージーランド農業の素晴らしさと恩恵をつくづく感じるのである。

参照:
日本の自給率の動向(農業協同組合2006年)https://www.jacom.or.jp/archive02/document/tokusyu/toku198/toku198s06101602.html
日本と世界主要国の食料自給率(2013年)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/013-1.pdf
日本の自給率って何が問題なの?
https://www.sangyo.net/contents/myagri/zikyu_ritu.html
NZ自給率(FAO.ORG 2010年)
http://www.fao.org/3/i2493e/i2493e03.pdf
NZの牛肉生産と輸入動向
https://www.alic.go.jp/content/001154349.pdf
https://coop-weblabo.jp/lupo/newzealand/5072
NZ穀物自給率・果物類・乳製品・食肉(2009年)
https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_syokuryo/h22/pdf/usnz3nz.pdf
NZリンゴ生産と輸出動向(2017年)
https://www.ja-souma.or.jp/magazine/data/2018_429/429_02.pdf
NZ魚介類 自給率(農林水産省調べ2005年)
https://www.maff.go.jp/j/budget/yosan_kansi/sikkou/tokutei_keihi/seika_h22/suisan_ippan/pdf/60100210_08.pdf#search=%27%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89+%E6%BC%81%E6%A5%AD%27
NZの農業事情(2018年)
https://www.provej.jp/column/newzealand-agriculture/